ニュージーランドの先住民マオリ人は、太平洋ポリネシアの地域から西暦900年頃にアオテアロア(マオリ語で、白い雲のたなびく国の意味、ニュージーランドのこと)にやってきたのではないかと言われています。
では彼らはそのずっと前はどこにいたのか - マオリの古い伝承の中に、彼らの本当の故郷「ハヴァイキ」という言葉が残されています。
この「ハヴァイキ」は「とこしえの地」という意味で、タヒチでは「ハヴァイイ」クック諸島では「アヴァイキ」サモアでは「サヴァイイ」ハワイ諸島では「ハワイイ」という風に、若干の違いがあるもののこの地域に広く共通して存在した「ある場所」を指しています。その場所はマオリだけでなくポリネシアン全体の聖地であり、魂の故郷、「原郷の地」でした。そしてこの原郷の地は、各地の伝説によると遠い昔に海の底に沈んでしまったというのです。
彼らの共通性を示すものとして、例えばマオリが信仰する土着神「ティキ」は、ハワイ、グアム、タヒチにも同じと思われる神様が信仰されています。またこの「ハヴァイキ」の影響はポリネシアに限定されず、アジアを始め世界全体にも及んでいると考えられるのです。
最近の研究では、マオリ人と台湾人のDNAの類似性が極めて高いことが科学者により証明されています。日本語とマオリ語の中にも共通点が多く、子音に必ず母音がつく発音方法も同じです。日本人がマオリ語の言葉を発音するのは非常にたやすく、逆もしかりですが、これは西洋系の人にはとても難しいのです。
日本語のルーツは単一ではなく、人種同様複数の流れが混ざったものだと言われていますが、その1つに古代ポリネシア語があると考えられています。そしておそらく日本の先住民であった縄文人は、大昔に黒潮にのって日本にやってきた原ポリネシア系の人種だというのです。同時にポリネシアから中国に渡り混血した人種もあり、彼らはやがて朝鮮半島から日本列島に渡来して先住ポリネシア縄文人と混血同化し、弥生人が生まれたのではないかと考えられています。
アイヌの人々と沖縄の人々は、人類学的にも先住ポリネシア縄文人に近いとされています。この原ポリネシアン系に分類される人々は日本に約24%、韓国で約19%、中国に約12%いるそうです。縄文人がポリネシアから来たと考えれば、日本の縄文文化に見られる土偶の渦巻模様とマオリの人形に描かれる渦巻模様の共通性、アイヌのユーカラ織とマオリ織物の類似点も納得がいきます。他にも、琉球王朝時代の古代文字がイースター島のロンゴロンゴ文字と類似している点、王朝で使われたわらで数を表す「バラ算」がインカ帝国に伝わる「キープ」という算数と似ていることなど、古代ポリネシアの子孫たちは共通の文明を携えて広く世界へ拡散していったようです。
この古代ポリネシア人の持っていた航海技術の高さは有名で、彼等は六分儀、クロノメーター、方位磁針などの器具を用いずに数千キロメートルに及ぶ遠洋航海を行っていたことがわかっています。こういった高い航海技術には同様に高い天文知識、気象学などが不可欠であり、数千年以上前にすでにそういう科学技術を持つ高い文明があった、あるいは高度な文明の遺産を受け継いでいたことを裏付けます。
古代エジプト文明は紀元前3500年頃に出現したと推定され、その千年後にあのピラミッド群が建設されたと考えられていますが、ここにも未だ大きな疑問が残っています。エジプトに残る王名表には紀元前3500年より古い歴史が刻まれていますし、エジプトはさらに数万年さかのぼった高度文明の遺産を引き継いできた、という神官の言葉も残されています。また不思議なことに、航海民族でないエジプト人の土地から、紀元前4000年ごろのものと思われる十二隻もの巨大な海洋船が発見されています。ピラミッドには中世ヨーロッパの文明をはるかに越える、優れた天文知識をベースにした天体観測の仕掛けがあり、とくに地球の地軸が起こす旋回運動である歳差運動に関しての知識があったことは確実のようです。歳差運動は地球が自転する時に、地軸の先が自転と逆方向に円を描く首振運動のことです。これは地球の楕円性と惑星、月の引力などの影響により引き起こされる天文現象です。この旋回が一度起こるには約25,800年かかり、その間少しずつ天の北極(地軸の延長線)の位置が変化し、72年に1度ずつ地球から見える星の位置がずれていくのです。そしてこの歳差運動と天変地異、地球環境の激しい変化の間には密接な関係があると見られています。
最初に歳差運動を発見したのは紀元前150年、ギリシャの天文学者ヒッパルコスですが、それは西洋史の話であり、さらに古い時代にこの知識を活用した文明があったことを否めない遺物が世界中に残されています。古代ケルト、古代エジプト、マヤ、インカ、アステカ、インド、シュメールなどの文明が残した遺跡には、高度な天文知識が多く残されており、中でもマヤ暦という精密な天文カレンダーやピラミッドとオリオン座の関係、天文台としてのストーンヘンジなどはその代表です。マヤ文明はその全体的な成熟度とかけ離れた精密すぎる天文カレンダーを持つため、あたかもそれだけを別の文明から引き継いだのではないかと思わせる矛盾をその文明内部に抱えています。
一方エジプトのスフィンクスは少なくとも1万年以上前に建造されたであろうことが最近の研究で言われるようになり、雨の降らないエジプトに明らかな雨による浸食の跡が見られることもわかりました。世界のあらゆるところに、大昔に地球に大洪水が起こり、ほとんどの人類と文明が滅びごく一部だけが生き延びたーという洪水伝説があるのは誰もが知るところです。
南極大陸はその昔は3000キロ以上も北に位置しており、氷に覆われてはいなかったことが地質調査や化石の発見で確かめられています。またこの南極大陸がまだ氷で覆われていなかった時代を正確に表す地図の写しが1500年代に描かれています。しかし、歴史上南極大陸が発見されたのは19世紀のことなのです。今の人類が今の姿の南極大陸を発見する以前に、超古代の南極の姿を知っていた存在があるということでしょうか。
紀元前5千年前ごろに現れた知恵をもった人類が築いたという世界古代文明よりも、ずっと昔の遺跡に残されたはるかに高度な知識と技術。人類の歴史は、実は歳差運動がもたらす地球の天変地異により何度か根本的に塗り替えられ、しかしその中で生き残った一部の知恵が古代文明に伝承され今に至るのではないかという推測は、これらを総合的にながめた場合、極めて自然な考察の流れといえましょう。
1986年に沖縄の与那国島で発見された海底遺跡は、その建造物がインカ帝国の文明と酷似していることや、階段状のマヤ・ピラミッドと同じものではないか等と世界の学者から注目されていますが、いまだそれがいつどこで生まれた文明のものなのか、なぜ海底に沈んでいるのかはわかっていません。
19世紀にイギリス人ジェームス・チャーチワードは「かつて太平洋の中心に高い文明をもつ大陸があったが地球の天変地異によって一夜にして海底に沈んだ」という説を唱えました。チャーチワードはインドの高僧から教えられた秘伝の文書を解読し、古代に高い文明を持った大陸があり、それは太平洋の中心にあったと結論付けました。彼はその沈んだ大陸をムーと呼び、ムーには10の種族がいて、特に建築と航海の技術に秀でていたことや、その高い知識と文化を持ってムーの人々は世界へ出て行った等の仮説を唱えました。ところがこのムーは、今から約12500年前に、火山の噴火と大地震の津波により一夜にして忽然と地上から姿を消したというのです。
沖縄の海底遺跡の建設推定年代がおよそ1万年以上前だろうという調査結果を受けて、この沖縄海底遺跡は12500年前に沈んだムー大陸の一部ではないかと言う人たちもいます。
ところで、この古代文明およびそれ以前の超古代文明とハーブには深い関わりがあります。人間が植物の作用を利用した歴史は紀元前6万年にさかのぼるとも言われ、野山を渡り歩き食べ物を求める中で偶然発見した植物の作用-味や香りや消化促進、腐敗予防など-を人間は健康維持に役立てたようです。以来、古代ヒンズー教の教典の中にも、古代エジプトのパピルス文書の中にも、中国伝統医学書の中にも、ギリシャやローマの文化の中にもハーブを活用した健康療法は書き残され、蓄積された知恵が連綿と受け継がれてきました。マオリの伝承した独特なハーブ療法も、こうした始まりのわからないほど長い歴史の中で絶えることなく手渡されたバトンの一つなのです。
地球の歴史には様々な説がありますが、何万年の歳月の中で地球に本当は何が起こったのか、誰も知る由はありません。
しかし、私たちが「常識」として認知し「歴史」として学んだもの以外に、はるか昔に予想外の高度な知識と科学を有した文明があり、その文明を築いた人々はかつて一つであった「どこか」から、今のアジアや北米、南米に至るまで、広く世界に散っていったと考えると、歴史上の多くの謎がするりと解けていくのは大変興味深いことではないでしょうか。
私たちのルーツはポリネシアンの原郷の地「ハヴァイキ」なのか、はたまた失われた大陸「ムー」なのか、あるいは今は深く氷に閉ざされた南極の大地なのか。いずれにしても言えることは、ニュージーランドの先住民マオリも日本の先住縄文人も、おそらく同じ故郷を持ち、そして先人達が宇宙と自然の法則の中で謙虚に自分を見つめ、人間の健康を自然との共生の中で維持していくために築いたフィトセラピー(植物療法、ハーブ療法)が、時空を超えて今も私たちに継承されているということです。
古(いにしえ)の昔、ひとつであったかもしれないマオリと日本人。
おおいなる大地の恵みの一滴、小さな瓶に封じ込められたこのハーブの雫だけが、その真実を知っているのかもしれません。
注意
*1 この文章は様々な伝説や学説、発見事項に基づいて書かれたフィクションであり、特定の思想や学説を支持するものではありません。
*2 掲載写真と文章は、ウィキペディアを参照しています。(文:NH)



